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そして、くれぐれもこのコーナーのことは内密に・・・。

 

このまま読み進める方は、覚悟してください。
このコーナーでは、みなさんに楽しんでいただける自信がございません。
それでは第24回、はじまりはじまり。

  

 

本日のお題はこちら。

ニューヨーク紀行 -Episode3-】~ジュエリーデザイン~

 

イタリア系アメリカ人のロニとは、かれこれ10数年の付き合いになる。

 

イタリア人の職人チームを率いるこの男は、
頭脳明晰なスキンヘッドのイケメン、しかもスーパーリッチだ。
パートナーにするなら最高の条件を兼ね備えた男性といえるだろう。

 

小麦色に日焼けした筋肉質の腕に、
上品に仕立てられた細身のブレスレットをまとい、
それはもう徹底的に女性を褒め、称え、喜ばせる。

 

そこへ爽やかな笑顔も加え、
『あなたのように美しい女性はこの街の歴史に刻まれる・・・』
などとサラリと言ってのける筋金入りのスケコマシ。
まぁ、イタリア系ですから・・・。

 

さて、ジュエリーの買い付けとは、
お金さえ払えば何でも買えるわけではない。

 

経験の浅いバイヤーがロニを訪ね、
『欲しいからください』と言ったところで、
彼が率いるマエストロたちの作品をわけてもらえることはないだろう。

 

どれほど多額のキャッシュを用意しようとも、
通称『ロニ検定』を通過しなければ、作品に触れることすら許されない。

 

世界の名だたるメゾンが軒を連ねる5番街を、
眼下に一望できる上層階のロニのオフィス。
ここでロニは、買い付けに来たバイヤーたちを細かに観察するそうだ。

 

『ピンセットやルーペの扱い方を見たあと、
ジュエリーに関して2つか3つ言葉を交わせば、
【その野郎がどの程度か】わかる』
と、階下のCAFÉで淹れたエスプレッソを片手に話す。

 

『マエストロたちの金細工はアートなんだ。
それをゴールドの重量で評価しようとするアホ野郎が増えた』
と熱く語るロニ。

 

【貴金属と人の肌とが触れ合う部分をなめらかにつくること。
生まれた時からつけていたかのような優しいフィット感で、
ジュエリーはデザインされていなければならない】

 

10年ほど前、私とロニがエスプレッソを飲みながら
ゴールドのプレートに彫った【ジュエリーデザインの心得】が、
今もキャビネットに立てかけてあった。

 

今回の打ち合わせでも、細部にまでこだわる私の要求に、
辛抱強く耳を傾けてくれるロニ。10数年もの間、
私の無理難題に応え続けてくれる彼には心から感謝している。

 

通称『ロニ検定』、
もし再試験したらきっとロニは私の事を落とすだろうな・・・とも思う。
ニューヨーク紀行(完)

 

つづく。
何かが見えるまで。内藤。

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【ほぼ内藤わたり】-第24球目-