【Pt900 パール ペンダント】デザイン画
人の感情には「喜・怒・哀・楽」とある。
その中で「喜」と「楽」を描き生み出すことが私の仕事であろう。
「怒」・「哀」の感情をジュエリーとして仕立て、身につけ、
さらには後世に遺そうという依頼主は皆無である。
「喜び」や「楽しみ」を材料に出来上がったジュエリーは、
自分への愛や、他人への愛として、ご依頼主の毎日を輝かせるものとなる。
2011年、東日本大震災。
あの翌日も私はデザイン画を描いていた。
その数日前に、
2粒のパールを私に預けていったお客様のデザイン依頼であった。
世界を「哀」が充満していた時期のなか、
私は「喜」と「楽」を描く仕事を迷うことなく全力でしていた。
医者がその日の気分で診療するのではタマラナイ。
これと同じように、
大事な宝石を気分しだいで「哀」なジュエリーにデザインされたのでは
タマラナイと思う。
約束の期日までに、愛されるジュエリーをデザインしなければいけません。
周囲に充満する「哀」はかえられずとも、
自らを満たす「哀」は「愛」へと変換し、
今日も描く。