デザイン画集
いやもう、すっかり忘れてまして。
【Pt900K18 サファイア ペンダント】デザイン画
おっ!これは少し前にお仕立てしたペンダントですね。
あの時のことはよーく憶えてます。
このデザインは、ご依頼主が
上部に埋め込まれている小さなサファイアをご持参いただいたのが、
そもそものきっかけでした。
小さなサファイアなのでシンプルにペンダントにしてしまうと、
どうにも存在感に欠ける。
そこで、
「何か周囲に飾りをつけましょう」
という流れになりました。
デザイン相談がはじまり、
お客様のお好みなどを伺ってましたら、
「楽器」というキーワードにたどりついたのです。
そこからさらにお好みを掘り下げていくうちに、
オモシロイことになりました・・・。
お客様も私も、
サファイアのことなどすっかり忘れて、楽器のデザインに集中?!
デザインが固まってきた頃になって
ようやくサファイアの存在に気がつき、
「はっ!・・・こ、この辺に留めときましょうか?」と私。
「あはは、そうね、その辺に留めといてよ」とお客様。
いい人が多いんです、研磨職人って。
【Pt900 ブルートパーズ ペンダント】デザイン画
この項をご覧頂いている皆さんの中に、
宝石の原石を見たことがある方がどのくらいいるか存じませんが、
研磨が施される前の原石はじつに鈍い発色で、
「魅力のカケラも見いだせない」
と言っても過言ではないでしょう。
道ばたに落ちていても誰も拾わないだろうし、
宝石だと気づく人もいないと思います。
そんな原石を
目もくらむような美しさに変貌させるのが、
研磨職人であります。
ゴツゴツした石ころだったトパーズを綿密に計算し、
ツヤツヤとした12枚のかわいい花びらに変貌させてしまうのですから驚きです。
豊富な経験をつんだ研磨師になると、
「ココんところもうチョットだけ削って、ピタッと石がくっつくようにしてくれます?」
とお願いすると、
「まったくしょーがねーなー」
なんて言いながらも正確に削ってくれますし、
「ペンダントにする予定なんで、厚みを少なくカットして欲しんだけど・・・」
なんて要望も、
「そんなのデザインの方で何とかすりゃーいーじゃねーか!まったく」
なんて言いながらも快く引き受けてくれる、
憎めない人たちです(*^^)v
そりゃもう、ブルブルふるえてますよ。
【Pt900K18 パール ペンダント】デザイン画
イヤリングはバネのパーツをつけなければ耳につけられませんし、
ピアスにはピアス針が必要で、
ブローチには裏側にブローチ針が無ければ衣服につけることができません。
同様にペンダントにも
【バチカン】
と呼ばれるチェーンを通すところが絶対に必要となります。
さて、
ふんわりと丸いパールを、トンボのデザインでペンダントにするさい、
「ハイできました!」
と最上部に出来合いの3角形のバチカンを付けたとしたら、
私はお客様から、ブーイングの雨あられ・・・でしょうねきっと(^_^;)
そのため私は、
デザインをもうひとひねりしなければいけません。
「トンボは上部に付けてと・・・
まっすぐつけると芸が無いから、ナナメにして・・・
尻尾をクルッと巻いてそこにチェーンを通そうか・・・
どうせなら羽でパールを抱きかかえてみようか・・・」
などなど。
お客様に叱られないように、叱られないようにと、
本日もビクビクしながら デザインにいそしむ私です<(_ _)>
変態の末裔が、もの思ふ。
【Pt900 ルビー ピアス】デザイン画
イヤリングやピアスの起源を深く考えてみると、
じつに装飾性のつよいアイテムだと気づかされます。
ネックレスやリングの起源は、
例えば収穫物や戦利品を
「ちょっと首にかけておこう」とか「ちょっと指にひっかけておこう」
・・・的な起源と考えれば、なんとなく想像しやすいですね。
しかしイヤリングとなると
「この荷物、ちょっと耳にひっかけておこう」
・・・的な起源とは考えにくく、
そんなことするのは変人か変態だけと思いません?
我々の祖先が常識人であった(笑)と信じるならば、
イヤリングというアイテムは、
あくまで装飾を目的として生まれた文化ではないかと考えられます。
昔むかし、
我々は言葉を持つ遥か以前から、身を装飾していました。
ネックレスやリングには「その他」の目的があったかもしれませんが、
イヤリングの目的はたったひとつ
「美しく身を飾る」
であったと信じたい。
さもないと、
我々の祖先が変態ってことになってしまいますでしょう?
今やれ、スグやれ、早くやれ。
【Pt900/K18 ルビー ペンダント】デザイン画
大小さまざまなダイヤモンドと、
コロンとしたルビーが、この時の課題でした。
個性豊かなそれぞれの宝石たちをキャスティングし、
作品の中で生き生きと演じさせるのが、私の仕事といえます。
宝石たちを持参されたご依頼主にとっては、十年来の友かもしれませんが、
私にとってはその日初めて出会った宝石たち。
何年もの間、宝石たちをしまいこんでいたご依頼主の多くは
「今すぐデザインして欲しい」と要望されますので、
「んー、ちょっと2,3日考えさせていただいて・・・」
なんてことは言えない空気が現場を満たしております。
「あんたそれでもデザイナーなの?!」と怒られる前に、
いち早く気のきいたデザインをしなければいけない現場で、
ご覧のデザイン画も描かれたわけでして・・・
スッタモンダいろいろあるよね、人もさ。
【Pt900/K18 ダイヤ ペンダント】デザイン画
こうして自分の画をふり返って見ると、
きちっと描かれたデザイン画よりも、ご覧のラフ画の方が、
デザイン相談中の現場の情景がリアルに思い浮かんできて楽しめます。
ラフ画は稜線も荒いし、字も汚いのですが、
(まぁ字はいつもヘタクソなんですけども)
デザイン相談中に計画が2転3転している様子がうかがえて、
見ていてワクワクします。
カーブの強さや寸法など、
最終的には収まるべきところに収まるわけですけど、
あとから振り返ってみれば、
その過程のスッタモンダがじつに楽しいひとときであるわけです。
あ、いえいえ、
人間関係の話をしているわけではなく、
デザインの話なんですけども・・・。
これじゃ、まるで何かのタネ。
【Pt900 パール ペンダント】デザイン画
いつごろ描いた画なのか思い出せませんが、
たしかに私が描いたものです。
これはデザイン相談中のラフ画ですね。
ふんわりと葉が生い茂る中に、
宝石たちが盛りだくさんに留められるペンダントになるのでしょうね。
さて、
上部に記載されている【バチカン】とは、
チェーンを通す部分のことをさし、
ここではデザインの裏側(葉の裏側)に設置されるようです。
直径5mmのチェーンを通すバチカンは、
一般的なものと比べるとかなり大きめで、
恐らくパールネックレスのような太めのものを通す目的があったのだと思います。
この画の左上に向かってそれらしきモノが、
かなり適当な感じで描かれていますね。
デザイン相談の結果、制作のGOサインが出ると、
もう少しまともなデザイン画が描かれます。
まるで何かの種のように見える各種の宝石も、
より宝石らしく描かれます~<(_ _)>
ヒラメキが舞い降りる瞬間って?
【Pt900 パール ペンダント】デザイン画
フワッとまぁるいパールをご持参のお客様に、
「なんかテキトーに作ってよ!安いのね!」と任され、
言われたとおりテキトーにデザインしたら・・・
怒られますよね、たぶん。
それでもヒラメキというのは突然に脳裏に舞い降りるモノですから、
私の心もちであったり、態度とは関係ありませんね。
つまり、
お菓子とか食べながら鼻歌まじりに構想を練っていたとしても、
ヒラメキの瞬間はやってくるわけです。
羽ペン片手にモーツァルトを聴きながら、
その瞬間を待つほうがイカシテルのはわかりますけども・・・。
さて、
パールペンダントのデザインを構想中に偶然手に取った、
しずく型のターコイズ。
あなたならその瞬間にどんなヒラメキが舞い降りるでしょう・・・
女心って、宇宙の神秘ですね。
【Pt900 パール ペンダント】デザイン画
たまーに、男性からのデザイン依頼がありますが、
私が請け負う依頼は、ほとんどが女性がつけるジュエリーのデザインであるため、
私は常に女性のことを考えています。
20代30代のお客様は少ないため、
もっと詳しく言うならば40歳以上の女性のことを考えています。
自らの神経を研ぎ澄まして、
彼女たちのライフスタイルや交友関係、
満足感、優越感、競争心、友情、愛情などなど、
女心を理解しようと努めているわけです。
科学が発展しDNAは解読されたものの、
女心は解明できるはずもなく、まったくもって宇宙の神秘であります。
さて、
このデザインですが宇宙的でしょ?
【女心】と名付けようかな・・・
ほんの少しのことで、イメチェンできます。
【Pt900 ルビー イヤリング】デザイン画
ご覧のデザイン画の2つのイヤリングは、
どちらも同じ材料を使用しています。
宝石のセッティングの仕方次第で、
ずいぶんと印象の異なるデザインになるものです。
ふたつのデザインをご覧いただいた方々に、
それぞれの第1印象を伺うと、
【フワッと優しい感じ】、【ピリッと引き締まる感じ】、
【上品な優等生】、【キュートな小悪魔】などなど、
実に対照的なコメントをいただきました。
良くご覧いただくと、
爪の本数や配置も全て同じであることがお分かり頂けると思います。
ちがうのは宝石の向きだけです。
ほんの少しのことで、
周囲の人が持つ、あなたへの印象を変えることができそうですね!
そんなご用命がございましたら、
ハイ!わたしにやらせて下さい<(_ _)>