デザイン画集
「そうですそうです、ここでグァーいきます」
【K18wg パール リング】デザイン画
デザイン画を描く時、私はあまり影をいれません。
色を塗るときに軽く濃淡をつけますが、鉛筆の段階で影を入れるのがキライです。
鉛筆の影を入れないメリットは、画が明るく描ける事です。
私の描く画って爽やかでしょう?(←強引ですね?)
さて、もちろんデメリットもございます。
ご覧の画のような立体的に湾曲したデザインを描写しにくいのです。
脳裏にひらめいた奇怪なデザインを、
デザイン用紙の上に落としこめないことがございます。
そのような時は言葉を駆使しまして、
「ここのところがグアァーってきまして、こちら側でストンッとおさまるのです。
おわかりいただけますか?お客さま」
・・・という具合です。すいません。
解明されていない謎、あります。
【pt900 ダイヤ ブローチ】デザイン画
皆さんはブローチを胸のどのあたりにつけますか?
「どこでも好きな場所につければいいじゃない!」
という声が聞こえてきそうですが、
実際には多くの方が胸の左側に付けています。
ジュエリーにとどまらず、大振りのコサージュも左側に、西洋の勲章も左側に、
ジャケットやセーターなど、お洋服にデザインされた刺繍も左側についています。
ブローチを右側につけたらダメ!なんてことは決してないのに、
多くの方がなんとなく左側につけます。
今から十数年前・・・
私がまだ駆け出しの頃に、ジョージアン時代のアンティークを多く所蔵する美術館の館長に、
このことを質問したことがありました。
館長曰く、「諸説あるのですが、本当のところはわかりません」
と仰ってました。
いやしかし、不思議ですね~。
いざ、自分探しの旅へと。
【K18 パール リング】デザイン画
ゴールド系の発色をするパールを仕立てるさいに、
使用する貴金属をイエローゴールドで仕立てるのか、
それともプラチナで仕立てるのがふさわしいかを、
悩まれる方がおられます。
そんな時は想像力を働かせ、自分がその指輪をつけている場面を思い浮かべてください。
・・・さぁ心を落ちつかせましょう・・・
【しっくりと落ち着いたトーンにツヤ消した、プラチナ枠の中央で、
ゴールドのパールが鎮座しているデザイン】か、
【軽やかにカーブさせた細身のゴールド枠に、
羽ばたくようにマーキーズダイヤモンドをあしらったデザイン】なのか、
これは、
自分探しの旅だと思います。
プロのお仕事。
【pt900 パール リング】デザイン画
この1枚・・・時間が無かったのでしょうか?
ずいぶん走って描いてますね。
店頭ではデザインやデッサンの能力の他に、【すばやさ】を要求される場合がございます。
『あの、15分後の特急のチケット買っちゃったんですけど、
このパールでリングをデザインしてください』
というお客様がいらしても、
『えっ?!』
なんて言ってるようではいけません。
一瞬でひらめいたデザインを、な・る・べ・く丁寧に描き、
制作伝票を作成、お品物をお預かりし、お見送りするのがプロ。
ジュエリーに携わるすべての人たちは。
【k18 インカローズ ペンダント】デザイン画
どんなに美しい宝石も、磨かなければ輝きません。
ダイヤモンドの原石も、精巧な研磨技術によって適切な角度にカットされなければ、
単なる硬い石であるままなのです。
研磨職人は感覚を研ぎ澄まし、
異常なまでの集中力で宝石をカットしているわけです。
大きなインカローズを、
苺の形状にカットする時も貴重で高価な宝石を削るのですから、
ほんのわずかな失敗も許されません。
研磨職人だけでなく、
私たちジュエリーに関わるすべての者たちは、
ほんのわずかな失敗も許されないわけです。
そう、決して失敗は・・・
ん?んんっ?!
【グリーンガーネっト】の文字の中にひらがなが混じってますね・・・
もしも、当時の自分と話せるのなら。
【Pt900 パール リング】デザイン画
パールのリングをリフォームする方の多くは、
『ポッコリと上に出っ張ったデザインを変えたい』
と仰います。
ところが丸々としたパールを平たく削るわけにはいきませんから、
事実上は数ミリ低くつくるのが限界なのです。
ならば
【出っ張って見えないデザイン】にするしか方法がありません。
リング枠をパールに向けて少しずつ立ち上げてデザインすると、
パールとリング枠との、見た目の段差が減ります。
実際には1~2ミリ低い程度なのに、見た目ではとても低く、
使いやすそうな印象に出来上がるわけです。
この1枚はずいぶん昔に描いたデザイン画ですが、
以上のことを計算した画なのか、
それとも感性だけで描いたのか、
当時の自分に聞いてみたい・・・。
そうです。私の仕事ですソレ。
【Pt900 ダイヤ イヤリング】デザイン画
昭和の時代に一世風靡した、
【ダイヤの取り巻きリング】。
そこに必ず使われた、角度の付いた細長い四角いダイヤモンドを憶えていますでしょう。
俗に【テーパーダイヤモンド】と呼ばれたダイヤモンドです。
現代になり、
【ダイヤの取り巻きリング】をリフォームするほとんどの方は、
その取り巻きをはずしたいわけで、
新たなデザインに【テーパー】が使用されることは決してなく、
その細長い石たちは持ち主に返却されることとなります。
同じ時代に手に入れたジュエリーは、同じようなデザインであるため、
このようなリフォームを繰り返すほど、
どんどんお手元に増える【テーパー】。
そして、それを何とかするのが・・・
そうです、私の仕事です。
変態の末裔、イヤリングを想う。
【Pt900 エメラルド イヤリング】デザイン画
ふと思う、
人類で初めて耳飾りをした人の心境を知りたい。
いったいなぜ耳に飾りをつけようと考えたのだろう。
イヤリングの起源をそれらしく語る俗説は多くあるが、
どれもイマイチな説得力だ。
価値ある石や骨があって、
それを胸にさげとこう(ネックレス)というのは、なんとなく気持ちがわかる。
だけども、
耳にさげとこう(ピアス)というのは、理解に苦しむ。
人類で初めて耳飾りをしたその人物は
すごくユニークなファッションリーダーだったのだろうと想像できる。
そしてそれを追従した私たちの祖先もまた、
ユニークというか変態というか・・・まぁ私もその末裔なのだが・・・。
デザイナーとしての真価が問われる場面にて。
【K18wg ヒスイ ブローチ】デザイン画
彫刻が施された大きな宝石をブローチに仕立てる時、
宝石の背後にブローチパーツの土台を仕立てる必要があります。
そこで課題となるのが、
その大きく重い宝石をどのように土台へ固定するのかということ。
デザイナーとしての真価が問わるわけですね。
宝石の周囲に爪を幾つも立てて固定するのか、
彫刻の小さなスキマを利用して固定するのか、
デザイン力の見せどころであるわけです。
メレダイヤを数か所に配置し、
それらが同時にヒスイをも固定する役割をしているなら、
より自然ですね。
目立つように、それでいて目立たないように。
【Pt900 ダイヤ ペンダント】デザイン画
私が受ける依頼の95%は女性向けのデザインですが、
数か月に1度の頻度ではありますが男性からの依頼もございます。
男性のご依頼で、女性とは大きく異なることは、
【それぞれの部分に理由が必要である】こと。
『全長25mmのうち、上部のデザインを5mmに仕立て、
ダイヤ部が5mmで、下部のデザインを15mmにしてはいかがでしょう、
なぜなら・・・(どうのこうの)』という具合。
この【理由付け】ですが、ほとんどの女性は求めていません。
それどころか、そんな解説をしようものなら・・・
『あの、その辺のところはお任せしますので、もっとフワッとしたイメージで、
目立つようで、目立たないように、華やかでいて、落ち着いた雰囲気にしてください』
と言われてしまいます。
男性と女性、どちらの依頼が難しいか・・・。